大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)561号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕日本の一般企業の多くにあつては、いわゆる終身雇傭制度が採用されており、そのためもあつて、若年労働者の賃金は著しく低く、その後の勤務年数に応じ、同人の給与は年々昇給していくのが例であり、そのような風潮は極めて一般的であるため、終身雇傭制度を採用していない企業や採用の余地のない小企業にあつても、そのような昇給の慣行が行なわれていることは公知の事実である。このような公知の事実に鑑みると、若年労働者の逸失利益算定にあたつては、若年時の給与のみを基礎とすることは、著しく公平に反する結果となる。そのような場合賃金規程等により昇給方式が明確に定められている企業の場合には、それに従つて同人の逸失利益を算定すればよいが、明確な定めのない企業にあつても、定めがないという理由だけで、昇給を否定すべきではなく、その場合には、他企業、同種産業における実例等を参酌し、控え目に昇給を考慮することができるはずである。本件の亡正志が勤めていた訴外日東あられに、このような昇給を定めた規程等が存在することを認めることのできる証拠はないから、本件の場合他の企業との対比により昇給分を算出しなければならないところ、労働者労働統計調査部作成の昭和四五年賃金センサスによれば、男子労働者新中卒の小企業(一〇〜九九人規模)におおける年令階級別の賃金、賞与の合計額を見ると、二〇〜二四才が金六八万五三〇〇円、二五〜二九才が金八五万三六〇〇円、三〇〜三四才が金九二万三〇〇〇円、三五〜三九才が金九万三四〇〇円、四〇〜四九才が金九〇万六八〇〇円、五〇〜五九才が金八三万六六〇〇円であるから、本件亡正志の場合にも、少なくとも、同人が事故に遭遇することなければ、三五才に至るまで一三年間、毎年金一万円の昇給をしていたものと推認するのが相当である。 (田中康久)

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